ニコンのiNEXIV VMA-2520画像測定システムは、業界をリードする計測ソリューションの最新モデルです。金属プレス加工技術のグローバルリーダーであるIntriPlexは、この画像測定システムにより、顧客が部品に求める厳しい品質検査要件を満たしつつ、野心的な生産目標を達成できるようになりました。
カリフォルニア州に本社を置くIntriPlexは、世界で最も技術的要求の厳しい用途向けに、動作の要となる高品質な機械部品ソリューションを設計、開発、生産、販売しています。1987年の設立以来、Nikon Metrologyの20年来のパートナーであり、ニコンのiNEXIV製品ラインを駆使して大きな利益を上げてきました。
高品質の画像測定と検査の自動化に対する需要
現代の最先端業界でハイテク製品を大量に生産するメーカーが世界トップクラスの品質を確保するには、効率とスループットの向上だけでは不十分です。そのようなメーカーの多くは、卓越した業績を実現するために、無駄を最小限に抑え、許容可能な水準の信頼性を確保しつつ、1日あたり100万個をはるかに超える部品を供給する必要があります こうした野心的な目標を実現するには、高速で信頼性が高く、再現性のある比類のない測定ハードウェアと検査ソフトウェアソリューションが必要です。
IntriPlexの重要な新しい取り組みの一つに、電気自動車(EV)用バッテリー部品のプレス加工があります。このプロジェクトは、内燃機関からEV技術への移行を提唱する世界中の消費者や政府からの支援に後押しされ、長期的な発展が期待できます。
この分野に使われるバッテリーには主に3種類のフォームファクターがあり、そのうち2つがプレス加工された部品を使用しています。ところがEV業界は、精密プレス加工の専門知識を有し、かつ超大量生産が可能なサプライヤーを見つけるのに苦労しています。これは、IntriPlexにとって絶好の機会です。
測定技術に強みをもつIntriPlex
ニコンのハードウェアと検査ソフトウェアがIntriPlexの測定能力を倍増させ、同社の事業全体を飛躍的に発展さています。
ニコンの南北アメリカ大陸担当マーケティングディレクターのAndy Stultsは次のように述べています。「Nikon Metrologyは画像システムと光学検査システムにより、20年以上にわたってIntriPlexのプレス加工部品の検査を支援してきました。「これは、弊社の製品とサービスが長期にわたって高い品質と信頼性を提供している証しであり、IntriPlexのチームと育んできた素晴らしいパートナーシップの賜物です。」
新プロジェクトを迅速に立ち上げる必要があり、これまでにないスループットと精度が求められているため、数多くのメリットがあることが明白なiNEXIV導入の機が熟しました。
IntriPlexのオペレーション・エンジニアリング担当ディレクターRyan Schmidt氏は次のように述べています。「iNEXIV VMA-2520によって、タッチプローブと画像システムを組み合わせたデュアルセンサー技術を利用できるようになりました。IntriPlexの測定能力、統計的工程管理、総合的な工程能力を確立するには、高精度で高解像度の寸法検査ソフトウェアが必要です。」
Schmidt氏は、さらに続けます。「弊社のプレス加工部品には特定の限界寸法があります。これらの寸法は、開発時、工程内検査、さらに、バリ取り、特殊洗浄、熱処理などの仕上げ工程前後に行う最終評価の各段階で繰り返し測定します。ニコンの測定ツールを使うことで、お客様の要件に準拠していることを確認するとともに、他社と一線を画す業界随一の工程能力を確立しています。」
ニコンのiNEXIV画像システムによる、プレス加工とバッテリー製造検査の強化
より優れた画像システムの必要性
iNEXIV VMA-2520が新たに力を発揮することになった重要な工程が、断面の測定です。IntriPlexは、この種類の検査を光学コンパレーターで実施していましたが、iNEXIV VMA-2520を使用することで、異なるオペレーター間での反復性と再現性が向上しました。この検査工程には、従来のコンパレーターを置き換えるのに十分な機能を備えているため、精度とスループットを向上できます。
Schmidt氏は次のように解説します。「iNEXIV VMA-2520への移行を決定した主な理由は、複雑な形状を持つ部品の3次元測定が必要になったことです。回転して初期ビューから見えなくなってしまうエッジや面がある部品で、標準的な画像検査システムでは測定が困難であることが分かっていました。この種の部品は、極めて能力の高い画像システムとタッチプローブやレーザーを組み合わせたシステムなら検査できます。これが、iNEXIV VMA-2520のようなマルチセンサーソリューションの導入に踏み切った主な要因です。
さらに、高度な照明技術も大きなメリットをもたらします。ニコンの革新的な照明システムにより、これまで評価が困難であったザグリなどの特徴の測定できます。こうした数々の技術的優位性があるので、ニコンを高く評価します。」
ニコンは機器システムや検査ソフトウェアのトレーニングとサポートに定評があり、Schmidt氏のチームはその点にも信頼を寄せています。
Schmidt氏は次のように述べています。「IntriPlexのビジネスには、ニコンからのサポートが欠かせません。新しいデータ構造や、最も効率的で最適な測定方法を確立するための手法を理解することが重要です。弊社の品質エンジニアBrian Williamsは定期的にニコンに問い合わせていますが、的確なサポートが常に得られ、期待を裏切られたことは一度もないと言います。
CMM-Managerソフトウェアパッケージも大きなメリットです。CMM-Managerは実績のある高機能なソフトウェアで、業界で高く評価されています。iNEXIV VMA-2520と関連ソフトウェアを完全に使いこなすために、ニコンのトレーニングセッションに近く参加する予定です。」
プレス加工の現状
複数の部品を迅速に製作する金属プレス加工の歴史は長く、たとえば、プレス加工によるコインの機械生産は何世紀も前から行われています 現在の金属プレス加工では、プレス装置と金型を使って同一部品を大量生産します。
IntriPlexの社長兼CEOのDavid Dexter氏は次のように述べています。「部品製造について知っておくべき重要な点は、『プレス加工でつくれるものは、プレス加工でつくれ』ということです。プレス加工は最も効率のよい製造方法で、1秒で複数個の部品を加工できます。これに対して、機械加工による製造時間は、最も効率的なものでも部品1個あたり数秒にまでしか短縮できないでしょう。」
IntriPlexは長年にわたり、幅広い業種のお客様にプレス加工部品を提供し、優れた実績を上げてきました。中でも、ハードディスクドライブのメーカーは主要な顧客の一つです。その一方で、同社は現在、成長が見込める2つの新しい分野でプロジェクトに取り組んでいます。その一つが、大きな可能性を秘めたEV用バッテリーの分野です。もう一つが、従来は機械加工されていた光ファイバーのコネクターです。
IntriPlexは、光ファイバーのコネクターのプレス加工工程を初めて開発した企業であり、通信業界の多くの企業がその恩恵を受けています。
IntriPlexを他社から差別化し、この分野の世界的リーダーに押し上げた要因は、最も複雑な金属プレス加工工程である「成形」における専門技術です。この分野のほとんどの企業は、基本的な金属部品の切断、曲げ、穴あけ加工については問題なく行えます。しかし、複雑な内部および外部形状を特徴とし、一般的に小型である部品を高い信頼度で大量に成形加工するには、多大な創意工夫、精度、再現性が必要です。
IntriPlexはこうした精度を安定して達成するために、柔軟なマルチセンサー検査ソフトウェアソリューションが必要でした。それぞれが複数の技術的特徴を持つ多岐にわたるプレス加工部品に対応できるようにするためです。
最高のパートナーとの最高の連携
「真に世界クラスの製品を生み出すには、その優位性を見極める必要があります。」とDexter氏は述べています。「そのため、弊社がこの業界のトップであり続けるためには、ニコンが提供する測定機能が極めて重要です。」
IntriPlex Technologiesは35年以上にわたり、エンジニアリングに特化した優れた工程を活用し、世界の金属プレス加工業界で卓越した地位を確立してきました。Nikon Metrologyは、信頼できるパートナーとしてIntriPlexと長年にわたり手を携え、スループットと品質の向上に取り組んできました。新しい技術とチャンスが次々に生まれる中、業界を牽引する2社の協力関係は、これからも決して揺らぐことはありません。
技術の進歩により、メーカー各社は、現在と将来の機会に注意を払う必要があります。意欲的な挑戦と顧客へのサービス向上という共通のコミットメントは、IntriPlexとニコンの企業としての在り方を決める特徴であり、両社の企業文化を支えるものです。このパートナーシップの成果は、大量の部品を優れた品質でプレス加工するというIntriPlexの際立った能力にはっきりと表れています。同様に、目視検査機能の強化によって計測システムを進化させるニコンの取り組みは、IntriPlexのミッション達成を支援するというコミットメントを反映しています。IntriPlexとニコンは一丸となり、さらなる進歩を推し進め、精密工学の未来を形作り、卓越した製品の新基準を打ち立てていきます。