ニコンは、散乱アーチファクトを補正することで、産業用CTスキャンの画質と測定精度を向上させるソフトウェアソリューション、Scatter Correction CTをリリースしました。
株式会社ニコンの子会社、Nikon Metrology NV(Nikon Metrology)は、産業用CTスキャンのX線散乱アーチファクトが引き起こす課題に対処するために設計されたソフトウェアソリューション、Scatter Correction CTをリリースしました。物理ベースの最先端モデリング技術を用いることで、Scatter Correction CTは特にアルミニウム、スチール、セラミック、インコネルといった高密度材料において、画像の鮮明度と測定精度を大幅に向上させます。
X線散乱アーチファクトは、被検物の内部および外部構造の鮮明な画像取得を妨げるため、ユーザーにとって大きな問題となっています。通常、X線は可視光と同様に直進しますが、時には吸収されて再放出され、進行方向が変わることがあります。このために、被検物の高密度領域における同心円状の模様、材料の均質領域内に本来存在しない不均質領域、材料端部の不鮮明さとして現れることがあります。Scatter Correction CTではこのような複雑な相互作用を効果的にシミュレートして補正し、散乱アーチファクトの影響を除去します。
Scatter Correction CTの主な特長
- 画像の鮮明度が向上:Scatter Correction CTでは、X線散乱アーチファクトを補正することで画像の鮮明度を大幅に向上させており、内部構造や外部構造、および欠陥を正確に映像化し、詳細を明瞭に見ることができます。
- 測定精度が向上:部品形状や内部の特徴をより精密かつ高い信頼性をもって測定できます。これは、品質管理やインダストリー4.0の製造においてきわめて重要となります。
- 大幅にスキャンが高速化:従来の散乱のないCLDAによる2D CT手法と比較して100倍以上の高速化を実現しており、ユーザーは大幅な検査タクトのスピード向上や、製品開発の迅速化を実現することができます。
- 幅広い適合性:Scatter Correction CTは225kV以上のニコン製X線源およびX線システムの全製品で使用可能で、ニコンCTスキャン撮像モードのすべてに適合しており、幅広い産業用途で利用できます。
- 使いやすさ:補正はスキャンワークフローにシームレスに統合されており、1クリックで簡単に有効化できます。このため特殊なスキルは不要で、検査工程全体の生産性が向上します。
Scatter Correction CTは、航空宇宙、自動車、積層造形、鋳造といったさまざまな業界に大きなメリットをもたらします。
ニコンのX線/CTグローバル製品マネージャーであるAndrew Mathers博士は、次のように述べています。「産業用CTスキャンの重要な課題を解決する画期的なソリューションとなるScatter Correction CTを発表できることを嬉しく思います。本ソフトウェアは、X線散乱アーチファクトを補正することでユーザーが行うCTスキャンの画質と測定精度を大幅に向上させ、最終的に品質管理、製品開発、研究能力の向上に貢献します。」
【本件に関するお問い合わせ先】
株式会社ニコンソリューションズ
産業機器営業本部
Tel 03-3773-8911