Tilted CT により、平らな部品や高密度領域を含む部品の X 線検査がより精細に。

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ニコン(https://industry.nikon.com)は、同社が製造するCT(コンピュータ断層撮影法)装置を用いて、検査が難しいサンプルを非破壊で検査する、先駆的なX線コンピュータラミノグラフィー(CL)技術を発表しました。新たにリリースされた「Tilted CT」というこの技術は、平らな部品やアスペクト比の高い部品を検査する際のボクセル解像度を大幅に向上させます。また、高密度領域が低密度領域を覆い隠してしまうような形状の部品でも鮮明な画像が得られるため、品質管理の向上に貢献します。

平らな部品で、且つ検査が必要な箇所が中心部の狭い範囲の場合、従来の3D CTでは、検査部品の回転軸がX線に対して90度であるため、解像度の点で制限があります。これは、解像度を上げるためにサンプルをX線源に近づけて配置し、対象領域の倍率を高めようとすると、検査部品が回転する際にX線源に衝突してしまうためです。

Tilted CTを使用した革新的な CLデータ取得技術では、回転軸を最大30度傾斜し、検査部品はX線源の下で回転できるため、この衝突の問題を回避できます。これにより、例えばプリント基板アセンブリや、自動ウェハテストで使うプローブカードを検査する場合などに、より高い倍率で鮮明な画像を、より速いスキャン時間で取得することができます。ある比較テストでは、X線顕微鏡を使用して7時間以上かかったスキャンが、SEMI S2/S8準拠の XT H 225 ST 2xシステムで Tilted CTを使用すると1時間未満で完了しました。

この技術のもう1つの主な利点は、検査部品の高密度領域がX線の減衰率が低い領域を覆い隠すことによって生じるアーチファクトを除去できることです。回転軸を傾けることにより、高減衰領域を対象となる低密度領域の前ではなく、その下または上で回転するように配置できます。

これは、たとえば、積層造形された金属部品をサポート プレートに取り付けたまま検査する場合に効果を発揮します。高密度ビルドプレートがX線コーンビームと同じ角度で回転するように構造全体を傾斜させることで、障害物を効果的に排除し、サンプル全体を、低密度領域も含めてスキャンすることが可能です。

Tilted CTは現在、ニコンの XT H 225、XT H 225 ST 2x、および大型検査用X線CT装置M2で使用できます。ニコンは引き続き、X線による品質管理の新たな可能性の扉を開くために、先進的な画像処理技術に挑戦していきます。 Tilted CTや、他にも近年導入したさまざまなX線データ取得技術や再構築アルゴリズムにはその挑戦の一部です。

ニコンについて

ニコンは、100年という長い歴史の中で培った高度な光エレクトロニクス技術と精密技術をベースに、世界中でさまざまな製品、サービス、ソリューションを提供しています。ニコングループは、生活の質の向上やものづくりに貢献する新しい価値を、さまざまな形で創造し続けています。ニコンの産業機器事業部は、統合・最適化された超高精度の製品を提供します。どの製品もカスタマイズ可能で費用対効果が高く、導入後早期に生産性を高めます。ニコンのデジタルマニュファクチャリングを目的とした最近の開発は、産業機器事業部とデジタルソリューション事業部の緊密な協力関係によるもので、さまざまな材料をサブミクロン表面仕上げに加工するための一連の光加工機および機械加工ソリューションを発表しています。www.industry.nikon.com

 

【本件に関するお問合せ先】
株式会社ニコンソリューションズ
産業機器営業本部 第二営業戦略部
Tel 045-861-5670

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